プロフィールと 質問のお答え

♪武政 圭子 (タケマサ ケイコ)
 
  3歳よりバイオリンをはじめる。広島大学教育学部音楽・バイオリン専攻卒。同専攻科修了。在学中にビオラを始める。卒業後ビオラ奏者として広島交響楽団に入団。広響団員としての演奏活動のほかに、エキストラとして九州交響楽団、関西フィルハーモニーなど、ほかのプロ・オーケストラのお仕事もさせていただきました。バイオリン指導暦30年。国立市の福祉施設で、毎月ボランティアのミニ演奏会もやっています。


中学校教諭1級・高等学校教諭1級・2級普通免許取得
 

 

 私自身、こども時代に引越しなどで何度か先生を替わったおかげで、早い段階で習っておくべき大事なことが抜けていて、そのためにうまく弾けなかったり、悪い癖の矯正に時間がかかったりとずいぶん回り道をしました。

 

 プロオーケストラで弾いているときも、一応弾けてはいても、自分の弾き方に漠然とした疑問がありました。

 

 その後東京に転居を機に、東京藝術大学でビオラを教えていらした中塚良昭先生に師事。

本当にすばらしい先生で、私の左手の形、ひじの位置、指の置き方や角度など、弾き方の悪い癖を、ひとつひとつ直していただきました。また、バイオリンとビオラの奏法の違いなど、長年の疑問はことごとく解消し、それ以上のものを山ほど教わりました。

 

 長年の悪い癖の矯正には何年かかかりましたが、次第に、ウソの様に弾くことが楽になり、弾けないと思っていた箇所も弾けるようになってゆくのに驚きました。

本当に、基礎が大事です。基礎が間違っていると先で必ず、いくら練習しても弾けないという日が来るし、逆に正しい基礎が身につけば先々難しい曲になっても練習すればちゃんと弾けます。

 

 正しい奏法の基礎を、根気よく、きちんと教えてくださる先生は多くありません。

私は中塚先生に出会えて本当にラッキーでしたが、『こういうことを、最初から教わっていれば、あんな苦労はしなくてすんだのに』と、つくづく思いました。

 

 しかし、いろいろな指導法に接したことは、いま、教える側になって役に立っていると思います。そして自分がやった回り道を、生徒さんたちがなるべくしないよう、注意しつつ教えております。また、うまくいかなくて苦労している生徒さんの気持ちも理解できますし、その解決法もアドバイスできると思っています。

 音楽はやってもやっても奥が深く、終わりがなく、だからオモシロイ!まだまだ私も勉強したいので、今も定期的に経験豊かな先生のご指導を受けて、その際バイオリンやビオラの指導法の貴重なアドバイスもいただいております。そして、それが私の生徒さんたちのレッスンに還元できればと思っています。

 バイオリンは、簡単に弾けるようになるとはいいがたい楽器です。ピアノのように初めから正しい音程やきれいな音がでるわけではなく、まずその練習に時間がかかり、それからやっと自由に音楽作りの勉強に入れるという、ちょっと面倒な楽器です。
 でも、苦労の甲斐はあります。初めがちょっと手ごわいだけに、自由に扱えるようになってくると、愛着も大きいと思います。魅力的な音色、おまけに小さくて軽いのでどこへでも持って行け、1人で弾いたり、数人で合奏したり、オーケストラでダイナミックにやったりと、いろいろ楽しめて、友人が増え、弾き手の世界をどんどん広げてくれます。そして、人生の愉快な道連れになってくれることでしょう。

 

★最近「ヴィオラ専門なのか」「ヴァイオリンを教えられるのか」というご質問を数件いただきましたので、以下に追記します。

 

私は大学卒業までヴァイオリン専攻で、大学の3年生あたりからヴィオラも弾くようになりましたが、これはヴァイオリン専攻の学生全員がやることで、室内楽やオーケストラをやるときにヴィオラがいないと困りますから。

そして、なんだかヴィオラという楽器に魅力を感じたので、卒業後一年専攻科で芸大の別科を出た方にヴィオラを習いましたが、正直この時有益なことを教わったという記憶はありません。

 

その後広島交響楽団でしばらくヴィオラを弾いてから、結婚を機に東京へ転居。

本当のヴィオラの先生は少なく、せっかく東京にきたのだから良い先生に習いたいとアンテナを張っておりましたら、偶然のご紹介で中塚先生の自宅レッスンを受けることができるようになりました。(中塚先生のお弟子さんはN響のヴィオラにもたくさんおられます。)

それまでヴィオラの奏法に自信がなく、疑問も溜まっておりましたが、それがどんどん解消していくのは楽しいことでした。

 

ヴァイオリンとヴィオラは奏法上の違いがいくつかありますが、基本は同じです。

ヴィオラのレッスンで教わる奏法上のアドバイスが、そのままヴァイオリンに当てはまることはよくあります。というより、その方が多いです。

先生のご指導を受けるうちに、ヴァイオリンの腕も上がったと実感しました。

(それまでのヴァイオリンの先生方が教えて下さらなかったことを、たくさん教わりました)

 

先生ももうご高齢になられましたが、ちっとも偉ぶらないのにとにかく引き出しの多い方で、ますますお元気でレッスンをしておられます。

私も、もう長いお付き合いになり、今でもたまにレッスンをしていただいたり、うちの教室の生徒で才能もあり専門的なコースに進みたいという希望の子(もちろんヴァイオリン)で、私では役不足と思う子供の進路の相談に乗っていただいたり、その子に適切な先生を紹介していただいたり、たいへんお世話になりました。

(ただし、そんな子は千人に一人か一万人に一人でめったにいません。うちでは30年間に一人だけでした。それでも、基本を正しく教えておかないと、上の先生は絶対に引き受けてはくれません。)

 

わたしの教室は、始めてから30年になりますが、小学生以下は全員ヴァイオリン。こどもでヴィオラをやる人はめったにいません。世の中のヴィオラ奏者はほぼ全員子供のころはヴァイオリンを弾いています。

中学生以上になると、大きい楽器であるヴィオラも持てるようになります。それでも、うち中学から大人までの生徒さんの大半はヴァイオリンです。

 

また、コロナ前まで20年ほど国立市内の障害者施設で、ピアノの友人とボランティアのミニ演奏会を毎月開いていましたが、この時はヴァイオリンを弾きました。

 

とういわけで、ずっとヴァイオリンを教えてきましたし、超高度なテクニックや、独奏家を育てることはできませんが、それ以前のことはかなりきちんと教えられると思っております。また、めったにないことですが、私の手に負えないような才能に出会ったら、適切な先生にお渡しできるように橋渡しをするつもりです。

 

以上